2021年 小屋の偵察・春のボッカに行ってきました。

一週間少々の時間を取り、池ノ平小屋へ今年初の偵察&ボッカに行って来ました。

毎年この季節に現地偵察へ行っていますが、池ノ平の雪の量はここ数年とほぼ変わらない状況でした。

▲未明に室堂を出発し、別山乗越へと登って行きます。
雪は少なめですがまだまだあります。

▲別山乗越を越えると剱岳が姿を現しました。
ここから二股の吊り橋まで1200mの下りです。

▲剱沢本流左岸をへツるポイントは特に変わりなかったのですが、再び雪に乗るところが極めて危険な状態になっていた為ロープを出して確保する事になりました。

▲室堂や立山の稜線は昨年よりも雪が少ない状況でしたが、剱沢を下るにつれて雪の量は増えて行き、二股の吊り橋の流れは完全に雪に埋まり、渡渉もヘツリも必要なくあっさりと通過することが出来ました。

▲二股からは北股ルートを通り、池ノ平へ最短コースで向かいます。
雪が残っていれば圧倒的に早いルートです。
とは言え、疲れの溜まった体に背負子の荷物が食い込みます...

▲平ノ池から小屋への最後の登り。
いつもは無い雪庇の痕跡のようなものが残っていました。
雪が多そうな予感・・・

▲小屋は約半分の屋根が出ている状態で、大きくは変わらないもののここ数年では一番雪が多い状態でした。
この後3時間ほど掛けて小屋の入口を除雪し、無事小屋に入ることが出来ました。

心配していたダメージも特に無いようで一安心。
ここ数年、この季節に小屋の確認に来ることで雪の重圧が掛かる方向や場所が分かってきたので、その部分を重点的に補強することで無事に冬を越す方法が分かってきた気がします。

翌日からは屋根の雪下ろしを中心に、仮設の屋根の設置、ソーラーパネルの設置、木部のペンキ塗りなどを行いました。

屋根の雪を下ろす事により、建物内部の結露を防ぐことが出来ます。
結露すると水滴が床に落ちて木材を腐らせると同時に、晴れた日は水分が蒸発して強烈な湿気を生み、カビを発生させたり、電気製品を壊してしまったりします。
雪に埋まっていた小屋の屋根が顔を出したら、出来るだけ早く建物と雪を切り離し、換気をしてあげる事によって小屋を長持ちさせることが出来る訳です。

▲小屋の南側の広場がある場所には、屋根の高さを遥かに超える雪が積もっています。
この場所に小屋を建てている理由が、この季節に来ると良く分かります。

▲ひたすらスコップを振り、ようやくここまで来ました💦

▲雪の足場があるうちに、ペンキの剥がれた木部の塗装。

▲屋根下地を設置して仮設の屋根を架け、ソーラーパネルを設置しました。
ソーラーパネルを設置する事により燃料を使用して発電機を回さずに済み、下山後も換気扇を回しっ放しにすることが出来ます。


そんなこんなであっという間に一週間が過ぎ・・・と言いましても、晴れた日は綺麗な景色を楽しんだりする事も出来ました。

▲小屋から眺めたチンネ・八ツ峰のモルゲンロート

▲仙人山からの剱岳(左)と池ノ平山(右)

仙人山には登山道がない為、通常は登らない山ですが、この季節は雪続きとなっているので容易に山頂まで行くことが出来ます。

▲今回行うべき作業を一通り終えた為、一旦小屋の戸締りをして下山します。
次に来る頃には雪も殆ど溶けている事でしょう。

▲出発の朝も平ノ池から見事なモルゲンロートを見ることが出来ました。
帰りも北股を通って二股まで下ります。

▲帰りは二股から1200mの登り。
下山する室堂の方が池ノ平小屋よりも標高が高いというのがいつも変な感覚になります(笑)

▲別山乗越を越えれば室堂へ向かって一気に下り、少し登り返せばゴール。
まぁ、その少しの登り返しが一番辛いんですけど・・・


昨年の今頃は休業する事を決定しての入山でしたが、今年は営業する為の資材のボッカも行い、「いよいよ始まったな~」と言う気持ちになりました。

冬の間に新たなヘリコプター荷揚げ業者を見付けることが出来、今シーズンは多少勝手は違うもののヘリコプター荷揚げを行っての営業が出来るようになりました。

昨年はボッカでの営業が出来ないか探る一年となりましたが、池ノ平小屋までの道のりは片道10時間掛かる長い長い道のり。
しかも途中には死亡事故も度々起こる危険個所があり、重い荷物を背負って何度も行き来をしていれば、『いつか事故が起きてしまうのではないか・・・』と言う不安を抱えていました。
ヘリコプターでの荷揚げにより、スタッフの負担や事故も抑制することが出来ると思うと、新たに契約していただけたヘリコプター会社には感謝の念に堪えません。

コロナ禍で登山者が減少している中での営業再開は不安も大きいのですが、もう決めてしまったからには頑張らなくちゃ!

皆さん、頼むから泊まりに来てくださ~い!!


※今シーズンの営業方針や予約開始日については6月中旬に発表する予定です。
決まり次第このホームページにて掲載しますので、もうしばらくお待ちください。

北アルプス 奥劔 池ノ平小屋 公式ホームページ

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